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ゲーム紹介
第10回 「思い出を辿る旅から得られるもの」


人間誰しも、忘れてしまいたい、触れられたくないことのひとつやふたつはあるものだ。思い出しただけで赤面してしまうような大チョンボ。九死に一生を得た、背筋が凍るような体験。胸がズキリと痛む失恋……などなど、皆さんにも思い当たることがあるのではないだろうか?しかし、人の心はうまくできている。辛い気持ちで胸がいっぱいにならないように、時間とともに傷は癒え、「思い出」へと変わっていくのだ。

当ウェブサイトの「ノベル連載」でもお分かりいただけると思うが、
『FRAGMENTS BLUE』の冒頭は要の独白で幕を開ける。「手紙」への疑問、差出人との関係が気になる千花のことなどが語られるのだが、冷静に考えてみると「なぜ真相を確かめなくてはいけないのか」「このまま過去から目を反らし続けたって、いいのではないか」……なんて、思わず考えてしまう。心に靄がかかった状態が続いていくのだとしても、治りかけのカサブタを剥がして辛い思いをするよりは「まだまし」なのではないだろうか。



しかし……要は旅立った。そして私たちもまた、要を通して物語の真相へと迫っていくことになる。
わざわざ心に傷を負った場所へ立ち戻りもう一度その思い出に向き合うという体験は、現実にはそうそうあるものではない。先に書いた通り、時間とともに記憶の中で風化していくのがほとんどだと言える。だがこの物語で重要なのは、ただ辛い思い出に向き合うだけではなく、その記憶を辿りながら“過去にそこでやり残したことを片付ける”という部分なのである。

要の場合、千花の死を目の当たりにして、彼女がどういう思いで最期を迎えたのか、また残された自分たちがその現実をどのように受け止めるべきなのか……ということに目を向けることなく、ただ辛い現実から逃れたい一心で故郷を後にした。それこそが、要のやり残したことだと言える。
過去と向き合うことで、やり残してきた中途半端な思いにどう片をつけ、そしてそこから何を得ることができるのか……要を通して皆さんにも確かめてもらいたい。
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