〜 続編制作決定 〜

 めっちゃっくちゃお久しぶりです。どうも、昨日はD3さんイベント会場で恋華続編制作決定の反応をどきどきしながら見守っていた寺山です。いやぁ、その場のノリというだけかもしれませんが、あれだけのご歓声をいただけたのであれば、続編制作を決意してよかったかもと感じています。

 恋華ファンの方にはショックかもしれませんが、寺山の個人的な意見で言えば恋華はすでに終わった物語でした。なにより扱う題材が新選組である以上、続編はありえないと考えておりました。

 追加ディスクを求められるお声は、確かに寺山の耳まで届いておりました。けれども、史実を捻じ曲げた部分もあるとはいえ、資料を入念に調べネタを集め、恋華年表を作成し、大枠プロット、メインプロット、キャラプロット、ゲーム仕様を作成していきながらゲーム制作をハンドリング、そしてシナリオの加筆修正も行うという作業は、とても今の仕事の片手間にできる作業ではありません。しかも苦労して描き出した恋華の世界(鈴花の物語)へ、安易に手を加えることは寺山にとって簡単に了承できることでもありませんでした。

そういったこともあり、『幕末恋華・新選組2』などという形で改めて鈴花の物語を作る気にはとてもなれなかったわけです。恋華を軽く見ていたわけではなく、恋華が自分の中で特別な作品となったからこそ、それぞれのファンの方々の中に根付いたであろうゲーム内で鈴花が紡いでいった物語を壊したくないからこその嘘偽りない心情であったと思います(追加ディスクのバトン、お受けできなくて残念です。まあ、こんな事情でしたので……)。

 ただ、有難いことにD3さんからは前作発売以降、何度も熱心に続編制作を考えてもらえないかとのご連絡をいただきました。プロデューサーの字原さんが直接ブリッジまで来られたこともありました。それでも「あの物語は終わりました」「もう時期を外してるでしょう」とこちらもなかなか意見を変えることはありませんでしたが、恋華発売以降これだけの時間が経ってもなお前作を前作を愛してくださっているファンの方々がいることを最近になって改めて実感し、このたび『幕末恋華・新選組』ではなく『幕末恋華』の続編として新作を制作する決意を固めさせていただいた次第です。

まあ、本当はこんなにも簡単に一言で片付けられるような変心ではありませんでしたが、D3さん、ファンの皆様のお声があってこその変化だったと思います。続編制作に関する厳しいご意見も覚悟完了です。現在は本来の業務を片手間に、いちディレクターへと戻った気分で次回作『幕末恋華・花柳剣士伝』の制作を開始したところです。

 ただし「鈴花の物語は終わっている」という寺山の考えは変わっておりませんので、主人公は新しいキャラに切り替わります(鈴花がゲームに登場しないと言ってるわけではありません。基本的に前作の出来事は“史実”として続編に組み込みます。見えなかった部分を虚構もまじえて新たに見せるといった感じになるかと)。あと、具体的な名前はまだご紹介できませんが、攻略キャラも一新させます。結果的に恋華ファンの方々がこれまで熱心にご要望くださっていた追加ディスク制作のご期待にはお応えできませんでしたが、次回作には「前作のキャラは全員出るんじゃないか?」的な勢いで前作キャラもストーリーに絡め、前作ファンの方々も違和感なく楽しめるようなゲームにするつもりです(キャストも変える気なしです)。

 引き続き全身全霊をもって『幕末恋華・花柳剣士伝』の開発を進めてまいりますので、今後とも株式会社ブリッジにご注目いただき、以降の展開にご期待いただければ幸いです。


2006年8月7日 ディレクター 寺山 宗宏